株式会社カメックス
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           2002年年頭所感より
JBAリサイクル委員会 斉藤栄一

新年明けましておめでとうがざいます。
21世紀の始まりの年2001年は、平和を祈る期待も空しく、9月11日の同時多発テロに代表される予想外の混乱に見舞われ、 2002年も前年を上回る波乱の年との覚悟が求められています。
JBAリサイクル委員会ではこのような状況下で、'01年7月から11月に、5回の委員会を行い、グリーン購入法「特定調産品目(ふとん)」の原案作成を始め、アパレル産業協議会および環境省、経済産業省との意見交換を進めてきました。
その結果、'01年9月に、環境省に、グリーン購入法原案を提出いたしました。

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ふとん【判断基準】
○ふとん側地又は中綿に使用される繊維(天然繊維及び化学繊維)のうち、ポリエステル繊維を使用した製品については、再生PET樹脂(PETボトル、繊維製品などを原材料として再生利用されるもの)から得られるポリエステルが、ふとん側地又は中綿の繊維重量比で10%以上使用されていること。

【配慮事項】
○製品の梱包は、再生利用の容易さ、廃棄時の負担低減に配慮されていること

この原案のポイントは、「生地もしくは中綿に、再生PET樹脂を10%使用する」というJBA参加企業の誰でもが実行できる基準でスタートし、ペットボトルを中心とするリサイクルの流れを押さえ、寝具業界全員が無理なく「循環型社会」形成の第一歩を踏み出す事にあります。
今後この基準は、下記を基本に改善を加え、進める考えです。

1. 再生PET樹脂の使用率を高める。
2. ふとんのリサイクルを容易にするため、混綿を止め、パーツごとに各中素材100%の単独での使用を推進する。
3. 生地、充填物の同一素材化を図る。

これらの進捗を図りながら、リサイクルに適した商品には、「リサイクル適合品」の縫込みラベルとマークを、各生産工場に発行し、3Rの推進と、循環型社会の形成に取り組みます。
ご存知のとおり、ふとんは購買から廃棄までの使用年数のサイクルが長く、綿ふとんは打ち直し、羽毛ふとんはリフレッシュ、羊毛ふとんも丸洗い等の3Rがあり、天然素材は比較的環境負担は少なく、合成繊維もPET樹脂を中心にリサイクルが進んでいます。

これらの追い風と、これからの社会ニーズに合った環境型社会への提案を積極的に行い、寝具・寝装品業界の新しい道を切り開いて行きたいと思っています。
粗大ゴミの代表の一つに「ふとん」がある現状から、名実ともに「ふとんは3R社会の優等生」になるよう、皆様方のお知恵とご支援を頂けますよう、宜しくお願い申し上げます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
  ※3R:リデュース(削減)・リユース(再利用)・リサイクル(再資源化)


羊毛ふとんの重要性
※寝装リビングタイムスへの提言より
市場の再構築が大提言
 私は羊毛100%のふとんに絞り、その需要活性化について述べたい。
 約十年前まで、羊毛ふとんと言えば羊毛100%のふとんを指していたが、今では、羊毛と他の繊維(ポリエステル等)を混ぜた羊毛混のふとんが主流になっており、羊毛100%のふとんの市場は非常に小さいものになっている。
 しかし、羊毛100%のふとんを増やし、羊毛ふとん市場を再構築する事が、需要活性化に繋がるものと確信している。

 羊毛混ふとんの中から粗悪品が多く出現したため、羊毛ふとん市場が壊滅状態に陥った。なぜなら、羊毛混ふとんは、中素材として用いられる羊毛の品質まで問われないからである。その結果、消費者の信頼まで失ってしまった。

 まず必要なことは、羊毛ふとんの市場を再構築することである。羊毛(ウール)の持つ様々な魅力を新たにアピールすることである。
 これは、羊毛ふとん市場を再構築し、需要を活性化するための提言である。
信頼されるモノづくりで人間本来の機能の回復と癒しを

 マーケットを再構築するに当たっては、ザ・ウールマーク・カンパニーや英国羊毛公社、ニュージーランド・ウール・リミテッドとベスト・ウール・クラブを通じてのプロモーション活動に大きな期待が集まるだろう。

 羊毛ふとんをPRするための販促方法としては、羊毛の優れた性質を紹介するプロモーションビデオは有効であろうし、インターネットを通じた新しいやり方も模索していく必要がある。

 ウール100%の製品を集めたコーナーを展開し、POPを作成するといった従来の手法も、更に見直しを加え改善しながら、個々の企業が持つネットワークで一つ一つ輪を広げていく方法もある。
 しかし、一般の寝具売り場で羊毛100%ふとんを販売していくには、きちんとした品質のものであることが絶対条件である。そうでなければ、いくら一生懸命プロモーション活動を行っても消費者の役に立たず、すべては水泡に帰してしまう。

 残念な事に、羊毛混ふとんを生産する際に、羊から刈り取られたシェアリングウールだけを使っている企業は数少ない。羊毛ふとんにふさわしとは到底言えないような原料が使われている寝具も数多くある。
 しかし、ウールマーク等の基準がしっかりしている羊毛100%のふとんを生産する際は、粗悪な原料を使う企業は少ないのである。従って、この点からも羊毛100%のふとんを増やすことは企業品質の向上に有効だと言える。

 羊毛が持つ優れた性質を生かすには、羊毛100%のふとんが良い。IT(情報技術)化が進む中、自然の産物である羊毛は、同じく自然の一員である人間の本来の機能を回復させ、癒す力を持っている。
 大切なことは、質の良い原料をスチームドライなどの最新設備を使ってその特性を更に生かし、消費者が快適に眠れるふとんを作ることである。そして、プロモーションと共に、羊毛の素材を客観的に評価できるような仕組みもまた必要だと考える。